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住宅ローンは長く組んで、繰上げ返済するのがトクってホント?

最近、住宅ローンのご相談を受けている中で、「不動産会社からは、とりあえず35年でローンを組んで、そのあと繰り上げ返済をしたほうが、最初に短い返済にするよりも得ですよ」と勧められたという話を良く聞きます。ですが私は、この話を聞くたびに疑問を感じてしまいます。 疑問を感じてしまう理由について、具体例を用いてご紹介しましょう。


<3,000万円のローンを借りた場合>
月々の返済アップ額 月々の返済額 返済年数 総返済額 返済期間ごとの
利息軽減額
11万5445円 35年返済 4,848万6900円
1935円 11万7380円 34年返済 4,789万1040円 59万5860円
3988円 11万9433円 33年返済 4,729万5468円 119万1432円
6180円 12万1625円 32年返済 4,670万4000円 178万2900円
8524円 12万3969円 31年返済 4,611万6468円 237万 432円
1万1036円 12万6481円 30年返済 4,553万3160円 295万3740円
(金利は3%で計算)

上の表は、返済期間を1年短くするごとに、総返済額はどのくらい減るかを計算したものです。表を見ていただくとわかるとおり、35年返済と30年返済では、返済のスタート時に約295万円の利息差がうまれます。そのため35年返済を選択した場合は、「この295万円の差を繰り上げ返済で埋めない限り」、30年返済よりもトクにはなりません。

そこで、35年返済を選択した人が、1年後に100万円の繰り上げ返済をしたとしましょう。1年後に100万円の繰り上げ返済をすると、約177万円(期間短縮の場合)の利息を浮かすことができます。「利息が177万円も減る!」という繰上げ返済の効果に喜ぶかもしれませんが、この時点ではまだ、30年返済より返済総額は多いままです。

その後、さらに1年が経過した時点で100万円の繰上げ返済をおこなうと、約154万円の利息を浮かせられます。2回の繰上げ返済によって、合計で331万円の利息が浮きますので、購入後に2年間続けて、100万円ずつの繰上げ返済をおこなえれば35年返済のほうが有利になります。

ただし現実に目を向けてみると、ローン返済が始まったあと、2年間続けて、繰上げ返済できる家庭はそれほど多くありません。マイホームを購入するときは、家にかかるお金のほかに、諸費用や家具代、引越し代などがかかりますし、光熱費なども変わってくるので、家計が落ち着くまでには1年くらいはかかるからです。それに、30年返済を選択した人が、同じように繰り上げ返済をおこなえば、差は埋められないままということも考えられます。

35年返済は月々の返済がラクになるので、ついつい選んでしまいがちですが、最初は月々の返済額を多くして、重い返済額に家計を慣らしてしまったほうが安全だと、個人的には考えています。返済の最初の頃は順調にできていた繰上げ返済も、子どもの教育資金負担が重くなることで難しくなるケースも多いという現実も、知っておいたほうが良いでしょう。そのためローン年数を選ぶときは、1年でも短くすること。「最初がラクなローン」ではなく、「最初は大変なローン」のほうが、返済総額ではトクなローンになる可能性が高いと考えるからです。

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